-香里三井団地再生- ニコニコのデザイン PROJECT

団地に実際に住みながら“香里三井団地再生事業「ニコニコのデザイン」プロジェクト”(※1)で活動する学生さんを、泉北エリアの情報誌をつくる『RE EDIT〈リ エディット 〉』編集部が取材に伺いました。

「ニコニコのデザイン」プロジェクト代表の古本さん(写真右)は、大学で建築を学びながらも、経営、法律、介護と興味の対象が多く、進路を切り開くタイプ。より団地について知るために2023年4月、香里三井団地に引っ越してきました。

大学の設計実習では提案が空想で終わるのに対し、自分が考えたことが実現する面白さに魅了され、プロジェクトに関わりました。今では、プロジェクトがすっかりライフワークに。

古本さんが引っ越すタイミングで共に団地暮らしを始めたのが、友人であり同じプロジェクトメンバーである中川さん(写真左)です。

物心がついた時から水泳漬けの日々を送っていた中川さんが、建築学科を目指したのは中学2年生の頃。水泳の試合で訪れた、和歌山県の森の中のプールと呼ばれている木造を取り入れた水泳場「あきばさんプール」の、ふんだんに使われた紀州材の木の香りや、水面と客席がフラットになった構造に心奪われたことがキッカケだそう。

そんな2人は、出身地が同じで、帰りの電車が同じになることもあり、大学入学後すぐ意気投合。プロジェクトにも古本さんが誘ったところ二つ返事で快諾したそうです。

部屋は別の棟ですが、同じ授業がある時は通学のために団地内でよく顔を合わせる2人。

バイクという共通の趣味があり、大学のキャンパスまでもお気に入りのバイクで約10分ほど。たくさんの木や川など自然に囲まれた道を、心地よい風を感じながら、通学しています。また、香里三井団地では駐輪が無料なのも学生には嬉しいところ。

実際にどのように住んでいるのかを伺うと、部屋の中には趣味が存分に楽しめる工夫がいたるところに見受けられました。

音楽好きという古本さん。レコードプレーヤーでお気に入りの洋楽を聴きながら、洗濯物を干す時間が至福の時なんだとか。

デザインの研究室に所属の古本さんは、自身で撮影したチェキやポストカードを壁にちりばめ、アートボードのように工夫していました。

部屋の中で好きな空間を尋ねると、意外にもトイレという回答が。水場をイメージして、大好きな恐竜や原石、蔦で飾り、照明を付け替え、天井からプテラノドンを吊り下げたりと遊び心満載のスポットにしています。

団地に来てから麻雀にもハマったそうで、麻雀牌セットも購入。以前住んでいたワンルームより2倍以上、45㎡もある「仲間内で一番広い」部屋なので学校終わりにみんなが集い、麻雀やゲームをして楽しんでいるそう。

まちづくりの研究室に所属する中川さんは、古い物に愛着を持ち、部屋にはお気に入りの古着がズラリ。昔、お母さんが着ていた服もあり驚きです。築50年以上経つ団地に対しても、落ち着きを感じるそうです。


押入れも勉強スペースに変えて、自分に合った間取りにアレンジしています。

 

家具も中古で購入したものが多く、ソファーは先輩からのお下がりなんだとか。大学を卒業した先輩から家具家電を貰えることも多いようです。

十分な広さがあり、学割家賃で2万円代とお得な今の部屋に、2人とも大満足。リノベーション済みの部屋を選んだ古本さん、和室が残る懐かしい部屋を選んだ中川さんとお互いに工夫を凝らしながら団地で暮らして1ヶ月。そんな彼らに、団地暮らしの感想を聞いてみました。

古本さん:「マンションで一人暮らしをしていた時は住民同士で挨拶を交わすことさえなかったですが、香里三井団地では昔ながらのぬくもりを感じる“住民同士の会話がある日常”に魅力を感じています。」

中川さん:「団地で行われる大掃除がコミュニティーを生んでいると感じています。大掃除に参加することで“困ったらなんでも言ってね”と近所の皆さんから優しくしてもらえることが1人でも安心感があり、支えになっています。」

取材に伺った前日も、一緒にカレーを作って食べていたそうで、1人が買い物に行くと「何か欲しいものある?」と電話したり、団地サイズにぴったりなアイテムを情報共有しあったり、生活面での関わりの多さが2人の友情をより深めている様に感じました。

2人が団地に住むキッカケにもなった「ニコニコのデザイン」プロジェクトが始まって約1年。まずは団地を知ることから始まり、住民の方々に向けた「クイズ大会」や「かまどベンチを使用した焼き芋大会」を開催するなど、自分たちのできることを試行錯誤してきました。

イベントで収集した団地住民のアンケートから見えてきた、新たなランドスケープ案を提案し、卒業制作で発表も行いました。座学では習得できない実践的な学びの場として、団地の活性に貢献しています。

実際に団地に住む事でさらに愛着をもってプロジェクトに取り組むようになった2人。同じ意思を後輩が引き継いでくれることを願っています。

【注】
※1「ニコニコのデザイン」プロジェクト
香里三井団地のコミュニティーの活性化を目指すため、大阪電気通信大学建築学科の建築サークル「Create For Smile」の学生と大阪府住宅供給公社によって2022年に発足したプロジェクト。

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大阪府住宅供給公社
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